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名古屋工業大学 物理工学専攻 / 物理工学科 (高度工学教育課程・創造工学教育課程)エネルギー材料設計研究室

研究室紹介

エネルギー材料設計研究室(旧 固体力学物性研究室)へようこそ

一般に金属材料は,外力が作用すると,力が小さいうちはばねのような可逆的な弾性変形をしますが, 力がある限界を超えると不可逆な塑性変形(永久変形)をし,さらに大きな力が加わると,最終的に破断してしまいます。 一方,半導体材料,セラミックス材料,ガラス材料は,小さな力に対しては金属材料と同様に弾性変形をしますが, 室温付近では,ある限界を超えると一気に破断してしまいます。 これらのもろい材料でも,高温では金属のような挙動を示すものがあります。 このように,力を加えたときの材料の挙動は,変形の仕方一つをとってみても,加える力の大きさや材料の種類,温度等の実験条件によって, 著しく異なります。

このような力学的作用に対する材料の多様な挙動の中から,あらゆる材料に共通する力学物性の本質的な要素を見極めていくためには, 様々な固体材料に対し,きわめて微小な変形から破壊をもたらす大きな変形に至るまでの幅広い力の範囲で力学実験を行い, その結果の共通点,相違点を系統的に調べていくことが重要です。 このため,実験手段には,引張試験,圧縮試験,曲げ試験といった巨視的な変形に対する強度試験方法やマイクロビッカース硬度試験による試料表面の強度試験など, 従来から広く知られている様々な試験方法を用いています。

さらに本研究室では,他に例のない独創的な強度試験方法として,内部摩擦と呼ばれる物理現象を利用した試験方法を開発し, 実際の問題に適用しています。 この内部摩擦を利用した強度試験法の特徴は,従来の試験方法では検出できないきわめて微小な変形領域において, 力学応答の検出が可能となることにあります。この方法を用いることにより, 既存の試験方法に比べて,より敏感な合金の固溶硬化の検出, 従来は検出できなかったセラミックス材料の破壊の前駆過程の解明,薄膜材料の強度の絶対評価など,多くの成果をあげています。“固体力学物性研究室”という研究室の名称は,上記のような研究テーマに由来しますが,その一方で本研究室では, 熱電変換材料としての金属間化合物の研究にも力を注いでおり, 現在では力学物性研究と並んで本研究室の主要な研究テーマとなっています。

金属間化合物は,新たな高温構造材料として期待されており,本研究室でもその力学特性について研究を重ねてきましたが, 一連の研究の過程でFe2VAlにおける特異な電気抵抗の温度特性が発見されました。 これは,Fe2VAlが金属元素だけで構成されるにもかかわらず,その電気抵抗の温度特性が半導体的であるというものです。 その後の研究でFe2VAlは,フェルミ準位近傍に鋭い擬ギャップをもつ半金属であることが明らかになりました。
このような鋭い擬ギャップをもつ物質は,熱電材料として優れた性能を有する可能性があります。 また,Fe2VAlは,既存の熱電材料(Bi2Te3など)とは異なり, 有害元素を含まない“環境に優しい熱電材料”として期待されます。 しかし,Fe2VAlはそのままでは熱電性能が低く,実用に供することはできません。 そこで本研究室では,Fe2VAlの電子構造に着目し, 電子論に基づいて計画的にFe2VAlの組成比を変えたり,第4元素を添加することによって, Fe2VAl系熱電材料のpn特性の制御や熱電性能の向上に取り組み,その実用化を目指しています。 また同時に,擬ギャップ系熱電材料の機能設計の指針について,独創的な提案しています

研究テーマ紹介

(1)エネルギー変換材料の開発と機能設計
・ ホイスラー化合物熱電材料の創製
・ 熱電材料の電子構造評価と性能向上
・ 排熱利用による熱電発電素子開発
・ 機能性薄膜の開発と物性評価

(2)材料の力学物性評価
・ 内部摩擦による非破壊評価技術の開発
・ 転位と不純物原子の相互作用
・ 金属間化合物の力学特性評価
・ 熱電材料の高温強度特性の評価

教育方針

(1) 自ら課題を探求し,責任感をもって判断し行動できる学生を育成する.
(2) 材料物性基礎,量子力学,X線結晶学,力学物性論,材料強度学およびシステム材料学を基盤とする専門学力を高め,工学研究への応用力を養成する.
(3) 徹底的に研究討論を行うことにより,プレゼンテーション能力の向上を図る.

3年生向け研究室紹介パンフレット(2020年度版) New!

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